・「私はコンピュータがキライなんだ」

Macの開発において、非常に大きな功績を残しているビル・アトキンソン氏。Mac OSのみならず、現在のGUI環境発展の礎を作ったと言っても過言ではないでしょう。未だに第一線で活動し続けている、すごい人です。そんな彼のインタビュー記事が、CNET Japanに載ってました。以下、一部引用。

はっきりいって、私はコンピュータがキライなんだ。私が好きなのは、コンピュータが私に何かをしてくれるということだ。

今、Appleやスティーブが焦点を当てているのはまさにその点だ。コンピュータが人々にとって、一体何の役に立つのか。(ハードディスクが)何Gバイトになったとか、そんなことはどうだっていい。重要なのは、それで何ができるかということだ。

iPodはまさにそれを実現している。「音楽を持ち運びたい」という欲求が根本にある。コンピュータは生活のあらゆる側面を集約させるデジタルハブとして存在しているに過ぎない。

とても共感できる言葉です。<僭越すぎる言い方ですが(汗)
よく相談されるんですよ、「新しくて速いパソコン欲しいんですけど、何がいいですか?」みたいなことを。いきなりそんな質問されても、答えられるわけがない。前提条件が何も無いんですから。だからそんな時、決まって聞き返すことにしてます。「君はそのパソコンで何がしたいんだ?」って。サイトの閲覧とメールくらいなら、それこそ何でもいいわけです。でも例えば、ゲームをバリバリやりたい、3Dモデルをグリグリ動かしたい、高解像度画像を加工したい、音楽を作りたい、DVDを観たい、テレビを録画したい……そういう目的によって、最適解は変わってきますよね。それにそもそも本当に必要なのかって話もありますし。
俺はMacが好きです。初めて購入したパソコンがMacで(あの頃はバカ高かった!)、 当時やりたいと思ったことを実現できるツールとして他に選択肢はありませんでした。それから次第に「使うこと自体が楽しい」って側面(これはWindowsユーザーの方には分かりにくい感覚かもしれませんが)も加わって、以来ずーっとMac好きです。今では同じことをWindowsでもできたりしますが、「楽しい」のはやっぱりMacなんです。そんな俺でも、根底にあるのは「ツールとしてのMac」という思いです。
全くの初心者なら、とりあえず興味があるってことで「初めにパソコンありき」でもいいと思います。そこから次第にやりたいことが出てくるでしょうから。でも本来は目的ありきなわけで。もちろんただ単に「古くなったから新しいのが欲しい」ってのも立派な購入動機でしょう。それだけで事足りるものはいっぱいあります。ただパソコンにはそれ以上の可能性(あるいは汎用性)があるので、そこにほんの少しでも目的意識があれば、また違った視点を獲得することもできるんじゃないかなと。
つまり、まず自分の中で目的を設定した上で、そのやりたいことに対してどういうツールでどうアプローチするのか、それが本当に考えるべきことなんじゃないかと思うんです。
たかがパソコン購入ネタで何をそんなに、って感じのテキストですね。でもこういうスタンスは、もっと色んな場面に敷衍できると思ってます。仕事の面でも、プライベートな面でも。目的と手段の明確化、複数視点の獲得、アプローチルートとプロセスの考案……俺自身いつもそうできてるわけじゃありません。でも、そういう意識を持っていたい。ビル・アトキンソン氏の言葉から、そんなことを思ってみた次第。
ちなみに「かわいいパソコンが欲しい」や「インテリアにもなるパソコンが欲しい」と言われれば、迷うことなくMacを勧めるでしょうね。<ていうかそれなら本質的にパソコンじゃなくてもいいわけですが(笑)