・『四日間の奇蹟』読了 -3-

さて、ようやく全編を通しての感想です。随分と書くのに時間がかかってしまいました。内容を反芻するだけで、また感情が大きく揺り動かされてしまうのす。
大袈裟ではなく、ホントにこの作品に出会えたことに感謝したい気持ちでいっぱいです(←間違ってもふざけて「イパーイ」なんて書けない!)。精神の救いと浄化が、圧倒的な静謐さの中で力強く描かれています。具体的に触れてその素晴らしさをお伝えしたい点が多々ありますが、それはしません。いつかご自身で感じてみてください。以下、ネタバレにならない書き方で。
上には静謐と書きましたが、もちろん作中では様々な出来事が起こっています。決して安らかで穏やかなだけじゃありません。でも全体を通して感じたのは、矛盾してるようですが、むしろ「聖」謐とでも表現したくなるような静謐感でした。中に満ちているのは、溢れるほどに積層した人々の想いです。そして数多の感情が臨界を迎えたその時、奇蹟の浄化作用が顕現します。フィジカルな開放と、メンタルな解放。その後に訪れる、悲しくも美しい、澄み切った救い。その悲しみの先に、ひっそりと、でも確実に、幸福感が舞い降ります。
読み始めた当初は、完全に「奇蹟」の意味するところを取り違えていました。でも中盤に大きな流れの変化が起こり、そこで自分の予想を軌道修正。結果的に予想は当たっていたんですが、得られたものはそれ以上でした。こんなにきれいな作品だったなんて。あまり長編には使わない表現かもしれませんが、あえて言うなら、珠玉、でしょうか。
以前の日記に「電車で読むのはキツいかも。最後なんて絶対泣くぜ」という先輩社員の言葉を載せました。これは紛れもない事実でした。いやさすがに車内で大泣きしたわけじゃありません。込み上げてくるものを必至で抑えてましたから。それでも間違いなく涙目にはなってました。
さらに加えて白状するなら、今、これを書きながら、泣いてます。恥ずかしながら。自分でも信じられないくらいに。電車で我慢してたせいもあるんでしょう、内容を思い返すうちに我慢できなくなってしまいました。お陰でなかなか筆が進みません。こんな作品は初めてです。
四日間の奇蹟』、この作品の存在自体が、俺にとっての奇蹟です。最後にもう1度繰り返します。この作品に出会えたことを、感謝します。

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)