・『四日間の奇蹟』読了 -2-

全体を通しての感想の前に、1つ嬉しかった点を書きます。このエントリーのカテゴリーに[音楽]も付け加えた理由となった、ある「曲」についてです。あ、これはもうバレバレですか? そう、Mr. Misterの「Kyrie」です。
3/16の日記を見ていただくと分かりやすいんですが、つまりこの本を読んでる最中は、よく「Kyrie」を聴いてたわけです。昨日も最後の部分を読みながら、DASEINと交えつつ聴いてました。そしてちょうどまた「Kyrie」が始まった頃、こんな文章が……。(以下、p498からの引用)

ふと、店内に流れていた音楽の、英語詞の一節が飛び込んできた。
魂とこの柔らかな機械の間のどこか。僕はそこに再び僕自身を見出すのだろう。━━少し乾いた男性の声が、そんな内容の詞を歌っていた。
肉体という装置によって、確かに僕らは生かされている。だがやはり、生きているのは僕自身なのだ。……(中略)……
BGMの彼は繰り返し、知らない単語によるフレーズを叫んでいた。どうも英語には思えない音である。
生きているのは僕ら自身である。では僕らを生かしているのは一体誰なのか……(中略)……僕はその音に耳を傾けた。
キリエ・エ・レィ・ゾン━━。
そう聞こえるその言葉が誰に向けて放たれたものなのか、不思議にはっきりとわかる気がした。

少し乾いた男性の声……英語には思えない音……キリエ・エ・レィ・ゾン……これって、マジで「Kyrie」のことじゃ……? 「魂とこの柔らかな〜」って部分だって、オリジナルの「Somewhere between the soul and soft machine is where I find myself again」の訳だし……間違いない!
思いがけない符合に、一瞬震えが走りました。別に深読みをして「Kyrie」を聴き出したわけじゃありません。単に作品中の「キリエ」って言葉から、かつて大好きだった曲を思い出しただけです。でもその曲が、作品の背後に控えつつも主題の一翼を担っていたなんて! 望外の嬉しさでした。そして今も、iTunesで流しながらこれを書いてます。興味のある方は、アルバム『Welcome To The Real World』(ASIN:B000002WBS)をどうぞ。
また1つ、「Kyrie」に特別な想いが加わりました。