・殺人症候群

貫井徳郎著「殺人症候群 (双葉文庫)」読了。「失踪症候群 (双葉文庫)」、「誘拐症候群 (双葉文庫)」に続く「症候群三部作」の3作目、堂々の完結編です。巻末の解説を読むと、出版当時はほとんど話題にならなかった様子。でも、なぜ！？　こんなにも素晴らしいデキなのに！　と激しく疑問を覚えてしまうくらい、充実の内容でした。
ズシンと重いテーマを掲げ、登場人物たちにあえて苦悩を与えているかのような展開が続きます。重層的に繰り広げられる、悲劇（から逃れようとあがき、その結果また悲劇に陥る）的な人間ドラマ。読み進むにつれ、登場人物たちだけでなく、読み手の胸の中にも様々な思いや葛藤が去来することでしょう。
これまでの作品に盛り込まれた伏線的要素も見事に収斂し、非常に読み応えのある作品に仕上がってます。また過去の2作も読み返したくなってきました。

殺人症候群 (双葉文庫)

誘拐症候群 (双葉文庫)

失踪症候群 (双葉文庫)