・古代ローマ彫刻展

カラカラ帝の胸像昨日も書いたように、国立科学博物館の「スター・ウォーズ サイエンス アンド アート」は大混雑でした。予め上野駅でチケットを買ったものの、これはまた別の機会ってことにして、隣接している国立西洋美術館の「ヴァチカン美術館所蔵 古代ローマ彫刻展」を見てきました。「生きた証 - 古代ローマ人と肖像」と題された、古代ローマ人の肖像彫刻を中心とした展覧会。写真の「カラカラ帝の胸像」のような、共和政ローマ時代の人々の肖像彫刻が中心です。
当初は皇帝や元老員議員といった特権階級のためのものだった彫像制作が、時代が下るにつれ一般市民にも許されるようになり、単独の胸像だけでなく墓碑や棺、骨箱、記念碑と、様々な様式の広がりを見せています。また女性の髪型や服装を中心としたコーナーもあり、ガラスの香油入れや化粧用の鉄のヘラ、青銅のヘアピン等と合わせて、今も昔も変わらない女性の美容意識の高さが偲ばれます。
最終的にローマにキリスト教が広まるにつれ、その世界観の相違(「ローマ的現世へのこだわりからキリスト教的来世への希望」、パンフレットより引用)から精緻な肖像制作は終わりを迎え、質素で素朴な表現へと移り変わっていきます。それでも人々がそこに込めた想いは変わりません。以下、案内ページからの引用です。

こうして様々な人の姿を見てくると、最後に見えてくるのは、肖像に表された人物の他に、その肖像を作らせた人の思いです。妻に対する夫の思い、子に対する親の心、長年野営を共にした戦友の想い出、優れた人物への敬意、職人の誇り、友情。人を愛する気持ちは昔も今も同じです。石から伝わる人の温もりを感じていただけたら幸いです。

その場で見るとほんとにね、感じますよ。