・目に止まらずとも

目に止まらずとも土曜日に見た桜はほんとにきれいでした。文字通り華々しく、立派に枝先を誇示している桜の木々。陽の光を浴び、花弁を燦然と輝かせています。行き交う人々は皆その煌めきを見上げ、ある人は歩調を緩ませ、またある人は立ち止まり、そして一様に表情を和ませます。確かにそれだけの魅力が、桜にはあります。
でもそこで、ほんの少しでも構いません、周囲を見回してみてください。ちょっとだけ視線を下げてみてください。ほら、足下にもこんなにきれいな花々が。気づかずに通りすぎるのはもったいないじゃないですか。踏みつけて素通りするにはあまりにも誇らし気じゃないですか。見た目や立場が違っても、中身は桜と一緒です。例え気づかれることが無いとしても、精一杯生きています。
その時々に変化する、周囲からの認識や評価という相対的な基準。その中に隠れてしまっている価値、努力、あるいは立場を越えた本質。そういうものに気づくことができる視点と余裕を持ち続けたい。見落とさずにいたい。そんな話。